個人事業主の税金開業お役立ち講座

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開業したサラリーマンが経費を考える時にはココに注意!

開業したサラリーマンの経費に多い誤解や悩みを税理士が解説

最近の流れに乗って自分もサラリーマンをしながら副業を始めた。 どうやら税務署に開業届を出さないといけないという事で届出は提出した。
開業届を出したらサラリーマンでも色々と経費にできるというから、できるだけ経費を計上して税金は少なくしたいな。
とはいえ、どこまで経費にしても大丈夫なのだろうか?  

近年増加してきた独立開業ではなく、サラリーマンなどをしながら開業する「副業」や「複業」という形態。 個人の能力を存分に活用する方法としては素晴らしいですね。 とはいえ副業をするにも経費は生じます。

さて、このような場合にはどのようなものが経費になるのでしょうか? 今回はサラリーマンで副業するのに開業した方の経費について記載いたします。 

開業したサラリーマンの経費に多い誤解

開業したサラリーマンの経費に多い誤解

サラリーマンの給与だけの場合には経費は計上できない

そもそも論ですが、サラリーマンも税金を少なくしたいからと経費に計上したいというご質問を受ける事があります。
結論から申し上げますとサラリーマンに経費計上はできません。

しかし、サラリーマンは給料の所得税を計算する「給与所得控除」というもので個人事業主のように経費を計上できない代わりに経費と同じような控除が設けられています。

また「特定支出控除」というものを使えば一部の支出については認められます。
が、こちらを利用するには会社からの証明書を発行してもらうなどひと手間が必要になります。 そのため現在もこの方法はほとんど使用されていないでしょう。

それでも使いたいという場合には詳しくは下記をご覧ください。

No.1415 給与所得者の特定支出控除|国税庁

所得税法は収入により所得の区分が分かれる

経費を使うのは良いのですが、個人の所得税はそれぞれ区分があります。

  • 給料をもらう収入
  • 事業を行う事による収入
  • 投資不動産による収入

それぞれ「給与所得」・「事業所得」・「不動産所得」とこれらは所得が異なります。

この各所得の中で計算されるのです。 特に副業で事業を行う方はその区分が本当に事業になるかというところは常に争点になっています。 もし税務署から事業でないと判定された場合には「雑所得」という区分にされてしまいます。 事業所得と雑所得では下記のように違いがあります。

  • 事業所得は青色申告の特典が受けられるが雑所得は青白の区別がない
  • 事業所得でマイナスが生じた場合には他の所得と相殺(損益通算)できるが、雑所得はそれができない(マイナスは切り捨てられる
  • 事業所得で損益通算してもしきれない金額は青色申告なら3年間赤字を繰越できるが雑所得は繰越ができない

特に株式の売買は副業でやっていても事業所得とは認められづらいでしょうし、近年話題の仮想通貨はそもそも雑所得であると国税庁から発表されています。

国税庁資料「仮想通貨に関する所得の計算方法について」

サラリーマンをしながらではなくて、仮想通貨で生計を立てている場合にでも事業所得となるケースは今のところ難しいようです。

ただ、国税庁もいまだに法整備ができていないので、その内取り扱いが変わる可能性はあります。 以前も証拠金取引(FX)が雑所得でしたが、10年ほどしてから申告分離課税に変わったという経緯があります。

開業サラリーマンでもプライベートの支出は経費にならない

開業届を出したと言ってもこれは独立開業している人と同じでプライベートの支出は経費にはなりません。 所得税ではプライベートの個人と事業を行う個人というのは別と考えます。

もっと言うと所得区分ごとで経費なども別と考えますので、サラリーマンの業務においての支出を事業所得の経費にしていると税務署に否認(経費として認められない)されるでしょう。

これは税法という法律でそのように規定されているので仕方がないと言えます。    

開業したサラリーマンの経費に多い悩み

開業したサラリーマンの経費に多い悩み

開業したサラリーマンの労働による副業は経費がある?

自分は会社が新たに副業OKになったので、週末は飲食店で働いています。
これなら副業だし経費も使って良いですよね?

この方のように副業をしていると言っても実は単に労働で給与になるものという場合があります。

開業届は税務署に出しに行っても断られる事はまずありませんので、提出したから事業として認められたという事にはなりません。

開業届を出したとしても副業が単にアルバイトのような労働であり、給与所得に分類されるようなものであれば悲しいですが経費計上できるものはないのです。

この場合にはそもそも論ではありますが開業届を出す意味がないとも言えます。

実は副業でなくとも給与所得と認定される場合があります。 一番多いのは建設業における「ひとり親方」です。 実際には現場の責任者がいて、自分はその下で使われているだけの状態であれば本来は「給与所得」になることもあるのです。

特に場所や時間が決まっていて、材料や用具も貸し出されるような場合には特にその指摘がされやすいので注意して下さいね。

言われるがままに事業所得で確定申告をしていたら、その後給与所得と認定されてかなりの税金を支払うことになってしまった事例も多いです。
客観的に見ても個人事業主ではなく、単に人員として配属されているような場合は建設業だけでなく要注意だとも言えます。

開業サラリーマンの経費はどのようなものが考えられる?

自宅を事務所として事業などを行う場合を考えてみましょう。 業種により経費は異なるでしょうが、こんなところが挙げられるでしょう。

所得税ではすべて事業に関係するものという前提はつきます。

  • 交通費(会合やセミナーなど)
  • 交際費(取引先との飲食)
  • セミナー代
  • 書籍代
  • PC代
  • 専用のソフト
  • 経理用のソフトなど

これらに加えて賃貸の自宅を事務所にしている場合には、事務所部分だけの家賃や水道光熱費を経費にする事も可能でしょう。

いざという時の税務署対応については「事業に関係あると合理的な説明ができるかどうか」が焦点になります。  

開業したサラリーマンの経費へのアドバイス

開業したサラリーマンの経費のアドバイス

開業サラリーマンでも経費は青色申告していますか?

先ほども少々触れましたが、確定申告で副業分を事業所得や不動産所得として申告するのであれば青色申告をしないのは非常にもったいないです。 先ほどの赤字が3年間繰り越せる以外にも…

  • 青色申告特別控除で10万円もしくは65万円が控除できる
  • 通常備品などの固定資産は10万円未満までが経費で一度にできるが、青色申告をしていれば30万円未満まで可能になる
  • 専属で事業を手伝ってくれる家族に対して給料を支払う事ができる(通常は経費にならない)
  • 税務署から推計課税(所得を予測して勝手に税金を支払うように命令する)をされる事がない

というようにメリットしかないです。 もし開業届しか出していないようならば青色承認申請書を提出しましょう。

[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

ただし、初年度の期限は開業後2ヶ月以内です。(それを過ぎると翌年から適用となります。)

税理士に依頼してしまうのも良いかもしれません

ある程度利益が出そうであれば税理士に相談してみるのも良いかもしれません。

ベストな経費の計上方法を教えてくれるだけでなく、あなたの資産状況から適切な確定申告書を作成してくれるかもしれませんよ。
特に税法に違反していないかどうかは探り探りであり、専門家でない他人の情報はいい加減なものが多いです。 
「今まで問題がなかった」という文言は税務署に調査に入られていない人が多く使いますので、一度税理士に相談してみてはいかがでしょうか?

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あなたの事業がうまく行くのを心から願っております。  

 

以上がお伝えしたかった「開業経費サラリーマン」についての内容となります。 本稿が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。