個人事業主の税金開業お役立ち講座

このブログでは現役の税理士である著者が実際にいただいた相談事項をもとにして税金に関する事柄を解説しています。読者登録していただくと泣いて喜びます(ToT)

個人事業主が家賃を経費にする際の内訳で注意すべき点

独立開業したのはいいが、今は自分一人で動いているため事務所を借りる必要もない。 という事で自宅が事務所になっているが、この賃貸マンションの家賃て事業の経費に計上できるのか?

そういえば友人の会社では「社宅が節税になる」なんて言葉も聞いた気がするな。 経費にならなくて税務署に目をつけられるのも怖いけど、損をする事がないようによく考えないと…。  

独立開業して最初の頃は自宅兼事務所という方も多いのではないでしょうか? 今は色々なクラウドのサービスもあるので、倉庫を兼ねて事務所を借りる必要は無くなってきているかもしれませんね。

当ブログでは税理士が自営業の方からいただいたご相談などを事例ごとにご案内をしています。

今回は、開業して経費にする自宅の家賃にまつわる話について記載いたします。

開業した経費を家賃にするときに多い誤解

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自宅兼事務所は家賃全額が経費にはなりません

自分は独立開業してもたまにカフェとか行くけど、ほとんどの場合は自宅で作業しているんだよな。
 
確定申告の決算書でも自宅を事業所としているし…という事は家賃て事務所の費用じゃないか!!  
 
であればこれはもう毎月の家賃代は経費だよな。
いや~12ヶ月分の家賃があるかないかではかなり経費が違うから良かった!

 

開業したばかりの方はこういうところを迷うかもしれません。
特に事務所スペースをきちんと確保している方はそう感じるでしょう。
 
結論から申しますと事務所としてのスペースだけを経費に計上できるといえます。 「自宅兼事務所なら半分を経費にできる」などという暴論もお見受けしますがそれは危険です。 自宅兼事務所の家賃を経費にするのは税務署もうるさい論点ですから。
 
一番良い方法は自宅の総面積から事務所スペースとして使用している部分の割合を出して経費にする家賃を算出するという方法です。

持ち家はほとんど経費になりません

自宅兼事務所ではあっても経費にできるのは賃貸だからです。 その家が持ち家であれば誰にも家賃は支払わないですよね?

ここで論点になるのが住宅ローンを契約している場合。 住宅ローンの返済のうち利息部分も経費にしようとすればできます。

ただし、住宅ローンの返済金を経費にする場合には注意が3点あります。

  • 返済する金額のうち対象は利息部分のみで元本部分はダメ
  • 利息部分のうちでも床面積で事務所スペースとして使用している割合のみ
  • 住宅ローン控除の際に自宅使用割合は100%ではなくなる

特に3番目の住宅ローン控除については居住用部分(プライベートの自宅部分)のみが対象となるので、返済金の利息の一部を経費にしてしまうとその分住宅ローン控除の額が減ります。

納める所得税が出ている場合にはほとんどの場合住宅ローン控除を使用する方が有利になります。 もしも経費計上するなら住宅ローン控除が終わってからにするのが良いでしょう。

法人でなければ社宅の扱いはなく、法人に自宅兼事務所はない

後ほども説明いたしますが、会社で賃貸契約を結びそれを借上げ社宅として利用する事で大きく経費に計上する事ができます。

ただ、個人事業として開業して家賃を経費にしようとする場合、個人事業主とプライベートの個人は切っても切り離せないので社宅としての使用はできません。 残念ながら法人にしたらまた考えましょう。

また、個人事業主と同じように法人になっても自宅兼事務所という考え方をする方もいらっしゃいます。 しかし、法人になった時点で契約を法人名義に変えない限りは法人の経費にする事はできません。 支払いが個人なのに法人で経費にならないのはよく分かると思います。 つまり、法人になる時は賃貸契約も見直す必要があると言えます。  

開業した個人事業主が家賃を経費にするのに多い悩み

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事業で契約する場合に名義はどうするか?

個人事業主として契約する場合でも契約名はあくまで「個人名義」となります。

屋号(確定申告でも記入場所があるお店の名前のようなもの)がるかもしれませんが、契約名は個人名義でする事がほとんどでしょう。 契約名義が変わるのは法人の場合です。

逆に法人なのに名義が個人のままの方が法人の経費計上する上では税務上リスクとなります。(税務署に経費と認められない可能性が生じます。)

自宅兼事務所として家賃経費は無断で行って問題ないの?

ここは税務というよりも契約書の法的な観点から注意が必要です。 あなたが契約している自宅の契約書をよく読んでみましょう。

「事務所利用禁止」という文言があった場合には、勝手に自宅を事務所にしてしまうと最悪の場合には追い出される可能性もあります。

また、無断で事務所にしていてトラブルが発生した場合にも賃貸人(大家さん)の方から損害賠償などされてしまいかねません。 そのリスクを負ってでも自宅兼事務所とするかはよくお考え下さい。

水道光熱費の扱いは?

賃貸の場合、支払いは家賃だけではありませんね。

  • 電気代
  • ガス代
  • 水道代
  • 共益費
  • インターネット代

この辺も厳密に言えば事業割合(事務所として利用している割合)で按分する必要があります。 事業だけで100%利用ということはほとんどありえません。100%経費にするということは税務署に対してのリスクを負うという事を覚悟してください。

以前、不動産賃貸業の方が自宅兼事務所として上記の費用をすべて経費にしていましたが、やはり税務調査が行われた際には一部しか経費に認められませんでした。

開業した個人事業主が家賃を経費にするときのアドバイス

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法人に成るなら社宅の活用を考える

個人事業主として開業し、ある程度の利益が出るようになったら個人から法人に移る「法人成り」という事をする方もいらっしゃるでしょう。 その場合には先ほども少し触れましたが、賃貸している住宅を法人名義で借りる借上げ社宅という方法があります。

この方法を取ればかなりの金額が経費として計上できます。 ただし、この場合にも注意点はあります。

  • 家賃の一部は実際に住む人が負担する必要がある
  • 多くの金額を経費にするには固定資産税評価明細書を市区町村で取り寄せる必要がある

全額を地代家賃として経費にしてしまうと住んでいる人の給与扱いになってしまうので、注意が必要という事です。 そのため、給与の支払い時などに一部を天引きするという方法がよくあります。

2つ目の話は厳密に計算すればかなりの金額を社宅の費用にできるという話です。 具体的には社宅は下記のように計算します。

 

役員に貸与する社宅が小規模な住宅である場合

次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額になります。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))

(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

国税庁タックスアンサー:No.2600 役員に社宅などを貸したとき|国税庁
 

上記の計算をするのに固定資産税の評価明細を必要とします。

もし簡便的に経費にするのでも良いのであれば、支払い家賃の2分の1を給与から天引きすれば済みます。

ですが、先ほどの計算式で計算すると2分の1を計上するのとではかなりの差が生じますので可能であれば厳密に計算するのをおすすめします。

法人成りしたら賃貸契約だけでなく税務関係書類の整理も忘れずに

開業して自宅兼事務所を経費としてきて、順調に事業も大きくなり法人成りしたら契約も再度見直しましょう。

個人事業のままの間隔の方もいらっしゃいますが、あくまで個人と法人というのは別です。 それは賃貸の不動産の契約もそうですが、税務関係の書類も同じです。 法人の設立届関係の書類だけでなく個人事業は事業の廃業届を出さなければいけません。 どうかお忘れのないようにしてくださいね。  

 

以上で「開業経費家賃」について解説して参りました。 本稿の記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。

 

この記事を最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。