個人事業主の税金開業お役立ち講座

このブログでは現役の税理士である著者が実際にいただいた相談事項をもとにして税金に関する事柄を解説しています。読者登録していただくと泣いて喜びます(ToT)

個人事業主が不動産投資で開業したなら気を付けておきたい事は?

個人事業主が不動産投資で開業したときに多い誤解や注意点

年金だけでは不安もあり不動産投資を始めた。不動産セミナーでは不動産についての勉強をしたけれど、いざ自分で確定申告をするための経理をするには何かと不安がある。
不動産経営を開業するまでの経費は?銀行から借りたローンも経費になる?
なんだかんだで確定申告は3月が期限のようだ。
こんなので正しい申告ができるだろうか…?

最近は個人の方が自分の資産を現金ではなく不動産投資に回す事も多いですね。銀行から借入を行って不動産投資を始められる方も多いです。

そこで今回は、個人事業主が不動産投資を新たに行うために開業したときの経費について記載いたします。

個人事業主が不動産投資で開業したときに多い誤解

個人事業主が不動産投資で開業したときに多い誤解

不動産経営を始めたとしても税務署への届出は不要?

結論から申し上げますと賃貸アパート経営のように新たに不動産の貸付をするのであれば税務署への届出は必要です。 国税庁のページにもその旨をきちんと記載されています。

No.1399 新たに不動産の貸付けを始めたときの届出など|国税庁

上記のページでは3つの届出が推奨されています。

  1. 個人事業の開業(廃業)届出書
  2. 所得税の青色申告承認申請書
  3. 青色事業専従者給与に関する届出書

なお、3番の青色事業専従者給与については事業的規模といわれなければ提出しても意味がありません。 事業的規模については一般的に貸付の規模が5棟10室以上と言われています。

ですから近年の流行りであるマンションの一室を購入して貸付するだけであれば青色事業専従者給与は出すことはできませんのでご注意ください。

不動産経営で利益が出なければ確定申告は不要で良い?

先ほどのようにきちんと開業届を出したのならば確定申告しなければいけないのは分かると思います。

しかし、時には納税者の方たちの間で利益が出ていなければ確定申告をしなくても良いと思っている方がいらっしゃいます。それは誤りですからでご注意ください。 開業届は「事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出」と明確に記載されていますから、もし出していないようであれば速やかに提出しましょう。

特に青色申告を行うのであれば確定申告を行わないメリットはありません。 不動産経営による収支(所得税法では不動産所得と言います)が赤字になった場合には赤字を他の所得(たとえば給料があるならば給与所得)と相殺できるという事も可能(損益通算といいます)です。

それでも相殺できない赤字は青色申告であれば翌年以後3年間赤字の金額を繰越して確定申告の時に相殺することができます。(純損失の繰越し)

青色申告の方が白色申告よりも税務調査が来やすい?

そもそもの白色申告とは「青色申告をしていない人」の事です。 白色申告は特別に何か税務署に提出するわけではありません。
ときどき聞かれる質問に「青色申告をする事により税務調査が来ますよね?」というのがあります。今までの経験から言って青色申告だと税務調査が来るというのは都市伝説レベルに過ぎません。
白色申告だろうと青色申告だろうと税務調査が来るときはきますし、来ない時はずっと税務調査は来ていません。

もし不動産セミナーなどで白色申告を勧められてもきちんと青色申告を提出するに限ります。 というのも今は白色申告でも帳簿をつける事が義務付けられましたし、先ほどの3年間の赤字の繰越しも白色申告ではできませんからね。  

個人事業主が不動産投資で開業したときに多い悩み

個人事業主が不動産投資で開業したときに多い悩み

不動産の利益は給与をもらうのとは何が違うの?

所得税法では所得が10種類に区分されています。

先ほども少しお話したようにサラリーマンの方がもらう給料というのは「給与所得」という区分になります。 自営業者は「事業所得」ですし、株の売買は「譲渡所得」、競馬は「一時所得」というように区分が異なるのです。

その中で不動産経営による所得は「不動産所得」になります。 不動産所得は下記のように計算されます。

不動産所得=不動産による収入▲経費▲青色申告特別控除額

青色申告をしていれば不動産収入から経費を引いた金額が0円より大きければ10万円もしくは65万円を控除することができます。 65万円控除するには不動産所得が事業的規模(5棟10室)だけとなります。

この不動産所得がマイナスだと他の事業所得や給与所得と損益通算する事ができるという事です。

不動産経営ではどんなものが収入や経費になる?

それでは不動産経営の経理についてです。

不動産経営の収入は簡単ですね。住人からの賃料と礼金です。 敷金については住人から一時的に預かっているお金なので「預り敷金」という負債の科目になります。

経費については主なところを書きますと

  • 建物の減価償却費
  • 固定資産税
  • 借入の利息部分(元本は経費にならない)
  • 共益費
  • 不動産会社への仲介料

上記のようなものが経費になります。 不動産所得も事業所得と同じように自宅で経理しているのを事務所スペース部分だからと経費計上する方もいらっしゃいましたが、ここはかなり税務調査では調査官と揉めました。

本来であれば不動産所得で経費になるのは不動産を貸し付ける事による直接の費用なので、通常の事業を行うのとは異なります。この辺は特に一般の方は感覚が分かりにくいかと思います。 「本当に不動産を貸付するのに必要になる費用ですか?」という観点で不動産経営の経費を考えていただければと思います。

以前ご相談者さんにあったのですが、不動産所得で自家用車(国産車ではなく外国車)を減価償却しているような方がおりました。 不動産投資系のセミナーで自動車も経費にできると教えられていたようですが、実際にこれは税務調査があった時は否認される可能性は高いのは目に見えます。

自動車の使用を「物件閲覧のために使用している」というのは合理的な理由にするには苦しすぎるというのが率直な感想です。 減価償却で年間100万円以上経費に計上しているというのは少々無理があるなと感じました。 

個人事業主が不動産投資で開業したときのアドバイス

個人事業主が不動産投資で開業したときのアドバイス

不動産所得の経理も確定申告直前ではなく早めの準備を

お話してきたように不動産経営の経理もすぐに終わるというワケでもありません。 であれば開業時から早め早めに経理をしていきましょう。

経理は収入が入ってくるものでもないのでつまらないかもしれませんが、実際に経営状況を数字化する事によって「当初の事業計画通りに進んでいるか?」というような事も分かります。
実際に不動産経営が始まって当初の不動産会社の話とどこが違うかなどが分かる事も…。 通帳を見て「入金が毎月あるから良かった」だけではとてもキケンです。利益率などもしっかり把握するようにしてください。

不動産所得の確定申告も税理士にお任せしてしまう

ここまで経理(会計)や申告を自分で行うという前提でお話してきました。

しかし、自ら事業を行っていたりして多忙だと確定申告を自分で行うのはかなり重荷になります。 また、不動産所得を有するのであればこれからのライフプランも含めて税金の戦略も練っておきたいというのではないでしょうか?

そうであれば税金のプロである税理士と契約を考えてみても良いかもしれませんね。

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あなたの不動産経営がうまく行くのを心から願っております。  

以上がお伝えしたかった「個人事業主が不動産投資で開業した場合」についての内容となります。 本稿が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。