個人事業主の税金開業お役立ち講座

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開業した個人事業主の自動車に関する経費の扱いを解説

独立開業したら車も経費になると聞いた。 新車を購入するのも良いけれどもともと乗っている車もある。しかし、車を経費にすると言ってもどういう事? 購入した時の金額を経費にする? 名義も自分の名前だけれど問題ないのかなぁ…。  

自動車を経費にするかしないかで結構な差が出てきます。 経費の仕方もやや普段の生活からは馴染みがないところもあります。

当ブログでは、税理士が個人事業主からいただいたご相談などを解説しています。

今回は、個人事業主が開業して自動車を経費にする話について記載いたします。

開業してからの自動車の経費に多い誤解

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自動車は支払額がすぐに経費になりません

相談者さんたちの中にはこんな事を勘違いされていらっしゃる場合があります。

税理士先生、先日車を購入したんですよ。最近は軽自動車でも高くて150万円もしましたよ。
でも、これで一気に経費が150万円増えるから今年の所得税はあまり払わなくて済みそうですね^^

この部分は一番勘違いしやすいところだと思います。

自動車は交際費での飲食や事務用品のように支払った金額がすぐに全額経費にはならないのです。 税法である所得税や法人税では、10万円以上の購入は資産(正確には「固定資産」)として見られます。

そのため、10万円を超えるものは一度に経費として計上せず、減価償却の対象となります。 なお、青色申告をしていますと2018年現在は30万円未満までは一度に経費として計上できる事になっています。

一度に経費として計上してしまうと、後に税務署が税務調査に入った時には誤りとして確定申告を修正させられる事になります。

個人事業主は自家用車だと全額が経費にはなりません

これは個人事業主やフリーランスの場合には今回の車の事に限らずよく覚えていて下さい。

プライベートと事業を行う個人というのは別人格になります。 そのため家庭で使用している自動車を営業用としても使用する場合には「事業割合」という考え方が必要になります。

要はプライベートと事業での使用が混合であるならば事業用部分だけ経費に認められるという考え方ですね。

修理もすべてがすぐに経費になるとは限りません

自動車も年季が入ってくると色々と修理がかかりますよね。 その金額にもよりますが、これまた修理の内容によっては「資本的支出」という事で減価償却の対象となる場合があります。

この資本的支出になるかどうかの考え方は下記になります。

  • 今までのものを本来の水準まで回復させるものかどうか?
  • 今まで以上に高品質なものを取り付けたかどうか?

つまり、今までのものを現状まで修理して快復させるならば修繕費として経費に計上できます。

一方で、例えばエンジンを新型のものに変えたり、高めのコーティングを新たに行った時などに金額が10万円以上になった場合には減価償却になる可能性があると覚えておいてください。

個人事業主が開業して自動車を経費にする時に多い悩み

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自動車を経費にする減価償却費って?

それでは自動車を減価償却するとはどういう事なのでしょうか?

例えば300万円の新車の自動車を購入した場合、普通車であればその耐用年数は6年です。(軽自動車は4年) これは6年かけて経費にするという事です。 具体的には1年間でマックスの経費に計上できるのは

300万円÷6年=50万円

以上のように50万円となります。

さらに年の途中で購入した場合には月で按分するので、購入した月から最後の月までで計算します。   7月に自動車を購入した場合

300万円×6ヶ月(7月~12月)÷72ヶ月(6年)=50万円

こんな感じで計算するのが減価償却により経費に計上するということです。

自分の名義の自動車でも事業に使用して大丈夫?

自動車は個人事業の場合であれば自分名義でも特に問題はありません。

ただ、問題になるのは法人で自家用車を経費にする場合です。 法人の場合には必ず会社名義でなければ経費にできません。

自動車は「固定資産」と先ほど説明した通り、会社の所有する資産でなければ減価償却により経費にできないのです。 個人名義の自動車を勝手に経費にするのは他人の持ち物を勝手に経費にするのと同義なのでまずいと分かるかと思います。

会社で経費にしたい場合には、個人から会社に自家用車を売却するか、そもそも会社で新たに購入するようにしましょう。

その際にディーラーなどに会社名義で購入するのをお忘れなく。

自動車にかかる費用ってどんなものがある?

自動車は車両本体を購入するだけで終わるものではありませんね。 他にも下記のような費用がかかります。

  • 自動車税
  • 自賠責保険
  • 任意保険
  • リサイクル預託金
  • ガソリン代
  • 車検
  • 駐車場代

こういったところがかかってきますね。

特に注意したいのが「任意保険」です。 こちらは事業で使用するようになったら必ず保険の内容を確認してください。 車両の任意保険は個人使用なのか業務使用なのかで金額が異なりますし、補償内容も異なります。

業務で勝手に使用していて事故にあった場合には補償内容が適用されないという事もあるので、ここはケチらずにお金をかけても良いところです。 業務使用で保険契約すれば保険料も計上できますからね。 厳密には支払った保険料も事業割合で按分が望ましいです。

個人事業主が開業して自動車を経費にする時のアドバイス

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経費にしたいなら自動車は中古を選ぶ

自動車を減価償却するというのは先ほどお話した通りです。 先ほど普通車の耐用年数は6年というお話をしました。 しかし、この耐用年数は中古車になると短くなります。

  • 法定耐用年数を一部経過している場合 法定耐用年数−(経過年数×0.8)=中古車の耐用年数
  • 法定耐用年数をすべて経過している場合 法定耐用年数×0.2=耐用年数
※1年未満の端数は切り捨てとなります。 また、計算の結果が2年以内の場合は「耐用年数は2年」となります。

つまり、普通車で6年以上使用しているものは税法上では2年で減価償却できるという事になります。 税金のためだけに自動車を購入するのではないでしょうが、旧型でも全然良いのであれば中古車を購入した方が早めに経費にできるという事ですね。

早めに経費計上したいなら自動車は定率法で減価償却する

この話はより深い会計的な話なのですが、減価償却というのは自動車の場合には定額法と定率法という2つの減価償却の方法があります。 どちらが早く経費にできるかというと定率法の方が早く経費にできます。

先ほどの例で定額法だと300万円の自動車を減価償却すると定額法は1年に50万円が限度でした。 これが定率法だと1年に99万円も経費にできます。 定率法はその名の通り「率が一定」ですから、年数が進めば経費にできる金額は落ちていきます。

なお、デフォルトは個人の場合には「定額法」、法人だと「定率法」になります。 そのため、個人で自動車を定率法にする場合には税務署に届出をしなければいけません。 具体的な手続きと用紙は国税庁の下記のページからダウンロードできます。

 

[手続名]所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続|国税庁

自動車のオプションは後からつけた方が経費にしやすい

これは少々税金に視点をしぼった考え方ですが、すぐに経費にするためにはオプションは後からつけた方が経費にしやすいです。 というのも最初の購入時につけた場合には一体として見られてオプション品も減価償却の対象となります。

しかし、後にオプションをつけてその金額が30万円以内ならば減価償却ではなく、一度に経費に計上する事も可能となるんですね。 中には購入時にオプションを分けて落とす方もいらっしゃいますが、私はそのような方法はおすすめしません。

こういった事も考慮して自動車を購入されてはいかがでしょうか?

本当に自動車は必要なのか? これはそもそもの質問ではありますが、重要であります。
個人事業主の方が車を購入しようか迷っているという相談を受けた時に「業務でいつ乗るんですか?」と質問しています。 するとプライベートも業務でもほぼ乗るタイミングがないという方が実は多いです。
自分が事業で成功した証として自動車に乗りたいという気持ちもわかりますが、そのためだけに種々の維持費が必要でしょうか? もしそういう考え方でいるならば「お金持ちはケチだからこそお金が貯まる」という言葉もあります。
ほとんど乗られない高級車がほこりをかぶって置いてあることの多い事…。 所有欲と本当に必要かというところを天秤にかけていただければと思います。 

 

以上で個人事業主が開業して自動車を経費にするという内容について解説して参りました。 こちらの記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。