個人事業主の税金開業お役立ち講座

このブログでは現役の税理士である著者が実際にいただいた相談事項をもとにして税金に関する事柄を解説しています。読者登録していただくと泣いて喜びます(ToT)

自宅で開業した個人事業主の固定資産税に多い誤解や注意点

自宅で開業した個人事業主の固定資産税に多い誤解や注意点

独立開業するのにわざわざ賃貸するのほどでもないかと思い自宅を事務所にした。 自宅は賃貸ではないから家賃はかからないから経費にならないな。
いや、固定資産税が毎年かかるけれどこれは経費になるのだろうか?
自宅兼事務所の取扱いについては確定申告までによく調べないとな…。

まずは独立開業おめでとうございます。 事業を行うホームタウンである事務所の経理は避けては通れないものですね。

当ブログは税理士が事業を営む個人事業主やフリーランスの方からいただいたご相談などを事例ごとにご案内をしています。 今回は「自宅で開業した場合の固定資産税」についてご紹介していきます。

自宅で開業した個人事業主が陥りやすい誤解

自宅で開業した個人事業主が陥りやすい誤解

事務所に使っていれば固定資産税は全額経費?

結論から申し上げますと自宅兼事務所で開業した場合、その自宅の固定資産税をすべて経費にすることはできません。

あくまで事務所として使用しているスペースのみが経費として計上できるといえます。 個人事業主は事業をする個人とプライベートの個人とは区別されます。 この話は他の経費でも共通する話ですから注意してくださいね。

また、自宅兼事務所とはいってもそれが自分で設立した法人であればさらに話は異なります。 固定資産税は持ち主にかかる税金ですから、たとえ法人の社長が購入した自宅であろうとも法人には関係ありませんからね。

※法人なら社宅扱いにするという方法はあります。

この辺もひとり社長のような会社だとごっちゃにしやすいから注意しましょう。

個人事業主やフリーランスは何でも経費になるんじゃないの?

こういった考えの方もまだまだ少なからずいらっしゃるようです。

先ほど少し述べましたように、事業で経費になるのは事業に直接関係のある「必要経費」と税法で定められています。 税法も立派な法律ですからそれを理屈でくつがえすのも簡単ではありません。

現に個人事業主の方が自分の奥様と子供のとの旅行を社員旅行として福利厚生の経費にしていて否認(税務署に経費にならないと判断される事を言います)された事例も多々あります。

こういった事例も単純に税務調査で否認されただけでなく、納税者が裁判で争った結果負けている事がほとんどです。平10.6.30裁決、裁決事例集No.55 248頁

こういった事もありますから、経費に計上するものについては「事業に直接必要であると胸を張れるかどうか」という観点は持っておきましょう。

自宅開業した個人事業主が悩みやすいところ

自宅開業した個人事業主が悩みやすいところ

個人事業主が持ち家の固定資産税を経費にするデメリットは?

自分が個人事業主だとして、その持ち家の一部を事業に使用しているというのであればその一部を経費にするのは可能と言えます。

しかし、デメリットとして一番に考えられるのが「住宅ローン控除」を受けている場合です。 住宅ローン控除はあくまで住居として使っている部分にのみ使用できる控除です。

ですから事業で経費に使用してしまいますとその経費にした部分は居住割合から引かないといけない事になります。 住宅ローン控除は税額控除という税金をそのまま減らす控除なので、よっぽど税率が高くない限りは居住割合は100%で受けるのが一番有利です。

経費計上したいのであれば10年間の住宅ローン控除が終わってから経費にするのを考えましょう。 なお、固定資産税も事業使用割合で経費にするのであれば、ローンで支払う利息も同様に事業割合で計算して支払利息として経費にする事が可能です。  

自宅で開業した個人事業主へのアドバイス

自宅で開業した個人事業主へのアドバイス

税務調査で面倒になるならば固定資産税は経費にしないのが一番

自宅兼事務所を経費にするというのは税務署が一番納得しにくいところでもあります。

ですから私も自宅兼事務所であれば経費にするのを簡単にはすすめません。 あくまで納税者の方が経費にしたいといえば方法を教えるという程度です。事務所スペースだとしても事業以外ではまったく使われていないかと言えばそうでもありませんから。

固定資産税などを経費にするのは自由ですが、税務調査があった場合にはまず自宅兼事務所の経費は論点になる部分だという事は覚悟していただければと思います。

これは今までいくつもの会社の税務調査に立ち会ってきた経験から言えます。

税理士がいれば税務調査で何でも勝てるというワケではありません。
税務調査に慣れている税理士でも落としどころの交渉はできますが、完全に黒の処理を白にするというのはどんな税理士でも困難なのは確かです。
自身の事業として「いつ税務調査が来たらどうしよう…」という気持ちで日々過ごすのを考えますとおススメできません。 もし所得が大きく出るようであれば、合法的な節税策や事業への投資に使用される方が良いとでしょう。 
以上がお伝えしたかった「自宅で開業した場合の固定資産税」についての内容となります。 本稿が少しでもあなたのお役に立てましたら幸いです。